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Tuesday, December 2, 2014

「ラインハルト」はイケてない?現代ドイツ人が名に抱くイメージ


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「キラキラネーム」問題や人気命名ランキングで最近も脚光を浴びる機会が多い「名前」。この名前が持つイメージはドイツ語圏でもやはり見過ごせない意義を持っている、とある調査結果が示している。

日本でも人気のドイツ名、ドイツ人にとってのイメージは?

いわゆるドイツ系ファーストネームといえば、まずはマルティンやアドルフ、ヴォルフガングやフリードリヒといった歴史上の人物名でお馴染みだろう。さらには『銀河英雄伝説』のラインハルトやヒルデガルド、『進撃の巨人』のアルミンやライナーのように和製ファンタジーの登場人物名として頻繁に用いられ、また日本警察犬協会ではサイトにドイツ語による犬名リストを載せているように、多くの日本人にとって「勇敢」「格調高い」といった好意的な印象を抱かせるもののようだ。
ではこうした名前に対し、当のドイツ人たちはどのようなイメージを持っているのか? ドイツの姓名研究者トーマス・リーベッケ氏がライプツィヒ大学姓名学研究所との協働によりネット上のアンケートで実施した調査結果はこれに示唆を与えてくれるものである。アンケートが要求してきたのは2300の名を対象とした、「響きが良くない/響きが良い」、「古めかしい/若々しい」、「知的でない/知的である」といった点でのイメージ評価。調査結果は2007年から昨年までにこうして集まった50万以上の評価をまとめたものという。

響き、知性、新しさ、活動性 名が示す様々なイメージ

調査結果によれば、まず「響きが良い」とされるのは、傾向として母音を多く含み、開音節、つまり母音で終わる音節からなる名。女性だとアメリー、ゾフィア、エミーリア、男性だとエリアス、オルランド、アレサンドロ等。女性名ではi、男性名ではaやoの母音を含むことも特徴となっている。逆に「響きが良くない」と感じられているのは子音の比重が大きいデルテ、エックハルト、ウトマンといった名。また「響きが良い」名の多くは「魅力的である」とも見なされ、逆に「響きが良くない」ものは「魅力的でない」とされる傾向も見られる。
 「知的である」イメージを持つ名としては、ラテン語由来のコルネリウスやコンスタンティン、ギリシア語由来のアガタやテオドーアのように、いわゆる古典語に基づくものが多い。一方、「知的でない」とされる名に目立つのは、東欧系名のカミル、トルコ系のエルカン、アラブ系のハッサンなど、移民としての出自を想起させるもの。これは「貧しい」印象を与える名についても同様であり、外国人労働者に対するドイツでの否定的なイメージを反映しているものと考えられる。
 ゲルトルート、エルフリーデ、ゴットハルトなど長々しい名の多くは「古めかしい」という評価。「~ハルト」「~ガルト」といったゲルマン的語尾が特徴となっている。一方でフィン、トミー、レオニー、リリーといった「若々しい」印象を得ている短い名では「イ(ー)」の語尾が目立つ。つまり「レオンハルト」という名は時代遅れな感じだが、「レオン」や「レオニー」といった短縮形であれば今風というわけだ。他方でクリスティアン、アンナ、トーマスといった伝統名は時代を超えた人気を保っている。
「スポーティーな」印象を与える名は、有名なスポーツ選手やキャラクターに由来するもの(クリスティアーノ、ミロスラフ、ロッキーなど)や、短く歯切れの良いもの(カイ、ヤン、アレックス、アンディ、リズなど)。逆に「スポーティでない」とされている名の多くは、「古めかしい」と見なされたものと同様、長々しい名前である。

日本人の知らないドイツ名のイメージ

同一の言語文化圏で「名」によって共有される情報量は大きい。その当人が男性か女性か、どの国や地域の出自か、どの世代でどの社会階層に属するのか。さらにこの調査結果に明らかなように、性格等の特徴にいたるイメージまでも名は暗示する。
ただやはりドイツ人が抱く名の印象は日本人のそれとしばしば齟齬をきたす様子。例えば銀英伝で人気の主人公ラインハルトの名は、この調査結果では「響きが良くない」「魅力的でない」「スポーティでない」といった多勢の評価を与えられてしまっている。
なんにせよこの調査で好印象を与えると評価された名の多くは、近年のドイツ新生児人気命名ランキングでも高い順位を占めているもの。印象の良い名を子に与えたいという親心について言えば大差は無いようだ。

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